夏バテと鍼灸
年々夏は益々暑く、且つ長くなってゆきますね。
重症化しやすい熱中症や脳梗塞も気になるところですが、
身近な夏の不調といえば何を思い浮かべますか?
そう。夏バテですよね。
- 食欲不振
- 疲労・倦怠感
- 気力の低下
- 不眠・浅眠
- 便通異常(下痢・便秘)
- 体重減少(食欲不振→筋肉量の減少)
- むくみ
- 頭痛
- めまい
- 情緒の不安定(イライラしやすい)
病院の検査では自覚症状はあるのに「異常なし」判定。
異常なし、なので積極的な西洋医学的治療はありません。
このような病気以前の病気、不調を東洋医学では未病と呼びます。
そして、この未病の段階でも治療できるのが東洋医学の大きな特徴です。
「未だ病ならざるを治す」ので「治未病」とも呼ばれる予防医学の一面です。
さらに言えば、
習慣上の負荷や環境・気候の変化にさらされている私たちの身体ですから、
全くの健康体という状態は現実には考えられず、
東洋医学的に検査してみれば自覚はなくとも誰でも何かしら問題はあるもの。
上記のような様々な自覚症状がない状態から心身全体の調整をする
メンテナンスとしての治療が最善の予防治療と言えるでしょう。
話を戻して夏バテの原因とは?
一言でいえば自律神経の失調。
脳の疲労です。
〇空調の頼りすぎ(冷やしすぎ)
〇運動不足
↓
〇発汗による体温調節能力の低下
↓
〇室内外の気温差、寒暖の差に対応できない。
ここに
水分の摂取不足による脱水症状や
逆に水の摂り過ぎによるミネラル不足、
アイスクリーム・かき氷・冷やした麦茶など身体を冷やす飲食の摂り過ぎ、
そうめんや果物など糖分の摂り過ぎ、
タンパク質不足、ビタミン不足
炎天下での作業など紫外線の目への負荷
などが加わって夏バテの諸症状が生じてきます。
さらに運動不足などに伴う【筋肉の弱化】があれば、より不調を来たしやすくなります。
危険を知らせる警報として発症する症状自体はいつでも正常なのですから、
原因と向き合うことが大切です。
夏バテと東洋医学
東洋医学では、「風(ふう)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・火(か)」などに
分類される外気・気候の変化は病の一因となると考えます。
それぞれの性質が過剰になり、人体に害を及ぼす時、
それぞれ風邪(ふうじゃ)・湿邪(しつじゃ)など邪と呼ばれ、
高温多湿な日本の夏は暑邪・湿邪が問題となります。
さらに現代はクーラー、冷房による寒邪の問題が加わってきます。
夏バテの病態
●津液不足
血液中の水分やリンパ液、脳脊髄液、組織液など
体内の水分を東洋医学では津液(しんえき)と呼びますが、
暑邪が身体の侵入すると体温が上昇し、熱を放散するために汗が大量に出て、
結果として津液不足となります。
陰虚とも呼ばる状態です。
暑邪に湿邪が絡むと少なくなった津液にさらに粘りが生まれ流れづらくなります。
結果として身体が重く硬く動かしづらくなり、疲労に繋がります。
津液不足や身体に停滞した湿熱が過剰になったり慢性化すると瘀血が生じやすくなります。
瘀血(おけつ)とはいわゆるドロドロ血、血液の流れが悪くなるので
治癒力も低下し、それだけ回復も遅くなります。
また筋肉には水分を保持する役割があり、
特に下半身の筋肉の収縮によるポンプ作用は下半身の血行・リンパの流れと関わっています。
運動不足による筋肉の弱化は、水分保持能力の低下、血・リンパの循環力の低下につながります。
痩せると干からびやすい、ということですね。
●気虚
暑さに対応するためのエネルギーの消費により、気が不足した状態です。
気力・意欲・集中力・思考力の低下などに繋がります。
●脾虚
外気(気候)が外邪となる時、
そもそもそこには先ず身体の方に原因がある場合が殆どです。
その身体の方の原因を内因と呼び、内因があるから外気が邪となる、
と東洋医学では考えます。
外気が単独で外邪となり、病につながることはあまり多くありません。
脾虚とは脾臓が弱るということ。
東洋医学でいう脾臓は西洋医学でいう脾臓とは違い、
消化(吸収)器系、水分代謝、内臓の位置の安定、血管の保持などと関わります。
脾は湿に弱く、また脾が弱ると体内に湿の停滞を呼びます。
脾は胃の働きを制御していますので、脾が弱ると胃の抑えが効かず食べ過ぎたり、
さらに脾が弱ると胃も弱り、食欲不振につながってきます。
- 食べ過ぎ 内臓全体の疲労 → 倦怠感・疲労等
- 偏食(炭水化物・甘いものの過剰)
身体を冷やし湿を呼ぶ
筋肉が硬くなる。筋肉が硬くなれば血管も硬くなる。血行不良。おもだるさ。
また冷えた身体を温めるためにエネルギーを使うため、疲れる。 - 偏食(タンパク質不足など)
脾臓は食物から血液の元を生成する。
タンパク質等の不足 → 血の養分不足 → 気力・体力の下を招く。
また東洋医学において内臓は精神とも関わります。
気にしすぎ、心配しすぎ、根を詰めすぎ、深刻に考える、などの思考ストレスは
脾虚に繋がります。
夏バテ対策
●水分を小まめに充分に摂る。同時に塩分・ミネラルも摂取する。
●過食を止める 適度に断食し内臓を休ませる
●冷たい飲食、身体を冷やす素材の飲食を控える
※熱中症など異常な身体の火照りのある場合はその限りではない
●適度な運動をする 筋肉を弱らせない
●冷房に頼りすぎない
温度設定を低くしすぎない 冷気を直接身体に受けないなど
●入浴はシャワーで済まさず、なるべく湯船に浸かる。
風呂から出る時は首から上を冷やしてから出る。
●夜更かししない。
就寝直前(最低1時間)はテレビ・ネット・スマホなどを見て、
目に熱を停滞させない、脳に緊張を残さない。
夏バテと鍼灸治療
元々胃腸の弱い方や不摂生で慢性的に胃腸に負担をかけて
脾が弱っている方は、栄養に気をつけて食事をしてもそもそも消化・吸収力が落ちています。
さらに慢性的な食べ過ぎ(消費エネルギーを比べて)は胃腸だけでなく、
肝臓や腎臓にも負荷をかけて内臓全体の疲労につながり、治癒力を落としてしまいます。
よって、上記夏バテ対策で養生すると同時に鍼灸治療で内科的に整えれば
早期の回復が期待できます。
今夏バテはしていないけれど、毎年夏バテしてしまうという方は
予防的にメンテナンスとしておくことをお勧めします。
夏バテは臓器的にはこれまで説明してきたように脾臓中心の病症ではありますが、
内臓(六臓六腑)は互いに影響しあいながら、機能的バランスをとっていますので、
東洋医学的な治療においては脾臓だけを診て治療するわけではありません。
まして、症状だけを診て、例えば「食欲不振のツボ」など
対症療法的に対応することは致しません。
当院では
心身全体の氣(気・血・水)の流れの不足・停滞・過剰
複合的な内臓の機能バランス(アンバランス)
内臓から全身に派生し走行する経絡の流れの不足・停滞・過剰
脳脊髄液循環の偏り(上昇しやすいが下降しづらい、など)
各内臓の生理的運動(拡張・収縮、屈曲・伸展)の偏り
それらの器となる身体の構造的問題
などを総合的に診て調整してゆきます。
夏バテしている方、夏バテしたくない方。
お気軽にご相談下さい。
院長 吉良 淳
はり師・きゅう師(国家資格)
漢方鍼灸臨床研究会認定漢方鍼灸医
日本刺絡学会認定鍼灸師
FTPピラティス認定ベーシック・トレーナー
さらに詳しいプロフィールはこちら
☆☆加古川市の根本治療専門院 鍼灸治療院きさらぎ
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