ニキビと鍼灸

ニキビ・オデキ・デンボ・・・・
吹き出物でお悩みの方は意外に多いものです。
鍼灸治療はそのような皮膚疾患にも有効です。

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ここではニキビを例に考察してみましょう。
多くのデキモノも東洋医学的な捉え方は概ね同様とご理解下さい。
※東洋医学は症状自体ではなく、その背景を治療対象とするため



ニキビ(尋常性座瘡)は俗に「青春のシンボル」などと呼ばれ、
新陳代謝の激しい思春期に発症しやすく、ある意味生理現象と言えるかも知れませんが、
東洋医学では「肌は内臓の鏡」と称され、あくまで病気です。

最も目立つ顔面部にブツブツとニキビがあることは、美容上男女問わず気になるところでしょう。
しかし、問題はニキビそのものではなく、ニキビができるようなお身体の状況そのものです。

洗顔などのセルフケアは良いとして、
クレ〇〇〇〇、オロ〇〇〇、ビフ〇〇〇などの軟膏、
美容鍼などを利用するのも対症療法的には結構ですが、根本治癒にはつながりません。

思春期のニキビは一過性のものとも言えますが、
思春期を過ぎた大人のニキビの場合は、より心身としっかり向き合う必要があるでしょう。


ニキビの原因の所在

東洋医学でいう「肌は内臓の鏡」とは肌には内臓の不調が顕れるということです。

一方、西洋医学ではどのように症状に対するのでしょうか。
丘疹,膿疱,硬結,嚢腫など多彩な皮疹を表すのが特徴のニキビ(尋常性座瘡)は
皮脂分泌の増加、毛穴のつまり、アクネ菌の増殖などが原因に挙げられます。
あくまで局所的に症状を観察し、原因もそこに求めています。
よって、処方も対症療法的に症状を抑える方向に向かいます。

発疹に多様性のない座瘡様発疹がありますが、
こちらは主にステロイド剤・抗てんかん剤、
経口避妊薬などの薬剤の影響によるものか、
クッシング症候群(満月病)など内分泌異 常によるものが考えられます。

症状自体、局部的原因、直接的原因はそうだとして、
では、なぜそもそもそういう症状が現れるのでしょうか。

ホルモンバランスが変わり、皮脂の分泌が多くなる第二次性徴期、思春期であっても、
人によって症状の出方や強弱は違います。
まして、第二次性徴期を終えた大人ニキビは「青春のシンボル」とは言い難く、
ニキビ・吹き出物を出さざるを得ないような心身の状態への理解、
そこに至らせる習慣上の問題点への理解を深めることが大切ではないでしょうか。


ニキビ・吹き出物と東洋医学

内因(内科的要因)

ニキビに限らず、皮膚の症状の直接的原因は皮膚面近くの「熱の停滞」によるものですが、
その原因は多岐に渡ります。

肺気の失調
先ず皮膚疾患は東洋医学的には基本的に呼吸器疾患です。
肺気の巡りが悪いと熱が停滞し、それを解消しようとして皮膚に症状が現れます。
熱の停滞部位が身体の表面でなく、もっと深くなれば気管支炎や喘息などの病に繋がってきます。
また東洋医学では肺と大腸は同じ系統に分類されています。
便秘すると肌が荒れたりするのもそれが理由です。

②胃腸機能を担う脾胃の失調

  • 慢性的な食べ過ぎによる脾臓(東洋医学における脾臓は胃の働きを制御する)の機能低下
    食べ過ぎかどうかはエネルギー消費量(基礎代謝+運動量)との相対的な問題です。
  • 栄養の偏り・・・脂肪分や糖・炭水化物の摂り過ぎ → ビタミンB不足
             脂っこい料理・辛い料理の摂り過ぎ → 臓腑に熱が滞る → 火毒
  • 精神的負担・・・東洋医学では内臓は精神の働きにも関係していると考えます。
    気を使いすぎて胃が痛くなる、という経験は誰しもあるのではないでしょうか。
    根を詰める、気を使いすぎる、気にしすぎる、深刻に考え込む、などなど
    「思いの偏重」に伴うストレスは脾胃を弱らせます。

の失調
我慢・憤懣・不満など「怒り」系統のストレスは肝の働きを低下させ、気の流れを停滞させます。
また慢性的な食べ過ぎや飲みすぎ、タンパク質や鉄分の不足も肝の失調につながります。
またイライラしやすい(寛容性が低い)、完璧主義、不平不満が多いなど
ストレスを増大させやすい精神習慣は肝に負担をかけます。

の失調
東洋医学的な「腎」は西洋医学的な腎臓機能を含め、
骨・骨髄、生殖器や精力と深く関わり、ホルモン分泌とも関わっています。
また深い呼吸とも関わっています。
よって腎が弱ると呼吸が浅くなり、骨・精力の弱り、ホルモン分泌の乱れ、意欲の低下、
など「老い」とつながり、根本的な治癒力・回復力の低下につながります。

病態のタイプとしては
〇肺・腎が弱り、脾胃に熱を伴う腎虚脾虚熱或いは腎虚脾実証
〇脾胃が弱り、胃の虚熱を伴う脾虚胃実熱証
〇肺・腎・脾ともに弱る脾腎両虚
〇上記それぞれに瘀血(おけつ・・・血の停滞、肝への負担)を伴う
肺虚肝実証、脾虚肝実証、脾腎両虚肝実証などがあります。
元々の体質や習慣・環境などの変化により、同じ人であっても病態は変動します。


**外因(非内科的要因)

  • 感染・・・・・過剰分泌した皮脂が角化した毛穴(皮脂の出口)に詰まったところに常在菌であるアクネ菌が繁殖し、それに対抗するために免疫が働き炎症が生じます。
    ニキビ以外のデキモノ【吹き出物、イボ、面疔、めばちこ(ものもらい、麦粒腫)等】でも
    感染が原因、または炎症の増悪因子となります。

ひっかき傷等、皮膚の外傷部からの細菌やウィルス感染ですので、
ニキビでやりがちな「白い膿を指で押し出す」などの行為は避けた方が良いでしょう。


当院の鍼灸治療

東洋医学的鍼灸治療の本道は、前述のような「証」に基づいて治療するため、
随証療法(ずいしょうりょうほう)と呼ばれます。

「〇〇の症状にはこのツボ」「ニキビにはこのツボ」など
安直に症状と経穴を結び付けて治療するツボ療法を隋症療法といい、
証の診断がまだできない東洋医学における初心段階の治療であり、対症療法と言えます。

また患部周辺に鍼を打つ美容鍼灸は患部周辺の血行を一時的によくするため、
対症療法としては効果はありますが、根本治癒には結び付きません。

※よって、当院ではツボ療法や美容鍼灸は行いません。

当院では、上記のような東洋医学的な内科的観察・診断に加え、
脳・脊髄、中枢神経・自律神経の問題、足関節から骨盤・脊柱・頭蓋骨など構造的な問題も
踏まえて治療に当たります。

なんとなれば、内臓機能の大本は中枢系にあり、
そしてそれは構造的問題を抜きには考えられないからです。

構造的問題とは、それぞれの生まれもっった身体的特徴と
普段の身体使いによって出来た姿勢の問題に他なりません。

立ち方・歩き方・座り方、重心の位置など、すべてが内科的影響を与えます。
ソフト(機能)はハード(構造)の影響を受けるのです。

食生活などすぐに見直せる問題とは別に、
よくよく意識していかないと身体の使い方、姿勢はなかなか変えられませんが、
一旦そこに意識を払えるようになると【日常を治療に】変えてゆけます。
それを「養生」と言います。

自分の身体にもっとも影響を与えているのは、基本的に平生の自分の習慣ですから、
習慣上の問題点を把握し、これに修正・改善を加えてゆく養生こそが、
先ず第1の治療と言えるでしょう。

ですが、なかなか自分では自分の身体使いの問題点について気づき理解することは難しいものです。
当院では治療によって心身の状態を整えてゆくと同時に、ご自分の御身体への理解、
不調を呼んだ習慣上の問題点(要改善点)への理解を深めてゆけるよう心掛けています。

自分の身体への信頼感と責任感を高め、
ある程度の不調は早い段階で自分で気づき、
自分で自分を治せる人を増やしたい からです。

対症療法的に「症状を抑える」「症状を消す」のではなく、
身体が症状という警報を出さずに済むような健康的な心身を養ってゆきませんか?

『治そう』という意欲をもって治療に臨み養生に励むこと
それが健康への近道です。
当院は本気のあなたの味方です。
お気軽にご相談下さい。

完全予約制 TEL 079-421-9353 
加古川市野口町野口431-3

  

院長 吉良 淳
はり師・きゅう師(国家資格)
漢方鍼灸臨床研究会認定漢方鍼灸医
日本刺絡学会認定鍼灸師
FTPピラティス認定ベーシック・トレーナー  
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