便通異常と鍼灸
多くの方にとって鍼灸治療は
肩こり・腰痛・ひざ痛などの筋骨格系の疾患・症状に対する治療だとイメージされているようですが
伝統的な鍼灸治療は心身全体を統一的に調整する根本治療であり、
内科的調整を主としています。
便秘や下痢ももちろん適応疾患のひとつです。
※なお、多くの鍼灸整骨院などで行われている鍼灸治療は 現代医学的刺激理論に基づく局所治療であり、 鎮痛(痛み消し・・・感覚を鈍らせる)を主目的とする対症療法であることが殆どです。
過敏性腸症候群(IBS)
腸に腫瘍・ポリープ・潰瘍など器質的以上は診られないのに
慢性的な便通異常や腹痛、それに伴う不安などに苦しむ病であり、
およそ10%の人がこれに当たると言われるほどよくある病気です。
昨今とみに増えているようです。
現代医学的考察
器質的病変を伴わない下記のような便通異常を主とする上記のような病態を
症状別に4つに分類しているようです。
- 便秘型
便秘を主症状とするタイプ - 下痢
腹痛を伴う下痢を主とするタイプ
突然の腹痛や下痢に襲われる不安から外出困難などにつながる場合もあります。
- 混合型
便秘と下痢を繰り返すタイプ - ガス型
頻繁におならが出たりしたくなったり、お腹が張って苦しくなるタイプです。
ゲップを伴う場合もあります。
上記のように分類され、
- 腸の運動の低下や過活動
- 腸に対する知覚過敏
- 遺伝や腸内細菌細
- 腸の粘膜の炎症
などが関係しているといわれていますが、あくまでそれは症状の直接的原因であり、
では、なぜそうなるのか、現代医学的には原因は不明です。
東洋医学的考察
概論
東洋医学的に大腸は「肺・大腸」として一組に捉えられるほど
呼吸器と関係の深い臓器です。
よって先天的に呼吸器の弱い方(喘息・気管支炎・鼻炎・アトピー・風邪を引きやすいなど)、
或いは後天的に、すなわち習慣によって呼吸器に負担をかけている方は
大腸の異常も現れやすいと考えられます。
呼吸器に負担をかける習慣とは
- 猫背・巻き肩など深い呼吸のしづらい不良姿勢
- 横隔膜・肋骨を充分に動かさない浅い呼吸の仕方
- 喫煙
- 排気ガス・埃・粉塵などの多い環境で仕事や暮らし
などが考えられます。
また脾臓(西洋医学における消化器系+内分泌系に相当する)の失調も関係します。
〇食べすぎ(エネルギー消費量に対して)
〇呑みすぎ(アルコールは身体を冷やし、免疫力を下げます)
〇辛いものなど刺激物の摂り過ぎ
〇甘いもの(糖類、炭水化物)の摂り過ぎ・・・・特に白砂糖、小麦
もうひとつ重要なのは感情・精神的習慣です。
東洋医学では心身一如、心と身体はひとつであるとの身体観から
精神・情緒の偏重が身体にもたらす影響も重視します。
肺は悲しみの感情、悲観的思考と関係が深く
脾は心配しすぎ、気にし過ぎ、気の使い過ぎ、考えすぎなどの思考と関係が深い
と考えられます。
情緒の偏重にお心当たりのある方はご注意下さい。
詳説
東洋医学では下痢を泄瀉(せっしゃ)、便秘は秘結(ひけつ)と呼びますが
下痢だからこういう治療、便秘だからこういう治療などと定型的な治療をするわけではなく、
それらの症状が発症するに至るまでの病因病理を踏まえて治療してゆきます。
下痢のツボ、便秘のツボなどというものは本来無いのです。
①下痢(泄瀉)の原因
- 外邪によるもの・・・・・・寒気や食中毒など
- 飲食不節による脾胃の弱りによるもの
過食、偏食、身体を冷やす食べ物の過剰摂取など - 内臓全体の疲労や冷えによるもの
- 情緒の偏重(精神的ストレス)によるもの
クヨクヨしやすい、イライラしやすい、心配性、不平不満が多い、被害者意識が強い、など - 不良姿勢による内臓へのストレスによるもの
- 大腸に停滞した熱を解消するための治癒反応としてのもの
②便秘(秘結)の原因
- 外邪によるもの・・・・・・・軽い食中毒など
- 熱の停滞によるもの
- 飲食不節による脾胃の弱りによるもの・・・・・・過食、偏食など
- 内臓全体の疲労や冷えによるもの
- 情緒の偏重(精神的ストレス)によるもの
クヨクヨしやすい、イライラしやすい、心配性、不平不満が多い、被害者意識が強い、など - 不良姿勢による内臓へのストレスによるもの
- 歩き方など身体の使い方によるもの
また便通の問題は排尿、水分代謝とも関係が深いので同時に考えていかなくてはなりません。
当院の治療法
上記のように同様の原因、要因であっても下痢になる人もいれば便秘になる人もいます。
症状を追いかけて治療しても仕方がない、ということです。
よって当院では症状を相手に治療するわけではなく、
それらの症状を発症するに至った病因病理を踏まえて、
さらにお一人お一人の体質・体力等も考慮の上、
心身全体の機能的・構造的不調和を調整すべく、
適切な治療を提供して参ります。
例として過敏性大腸炎を取り上げましたが、
症状や西洋医学的病名に縛られて治療をするわけではないので
逆にどんな症状、病名に対してもほぼオールマイティに対応できるのです。
ですから、例えば
潰瘍性大腸炎
クローン病
などの難病指定疾患も同様に鍼灸治療の適応症となります。
生活習慣の改善が必要な場合(必要なケースの方が多い)、
どのように改善してゆけば良いか、養生法・セルフケアを含めお伝えしてゆきます。
適切な治療の積み重ねとともに
治療を通してお身体の状態への理解を深め
問題となる生活習慣を改善してゆくことで
予後をより明るくすることができます
便秘、下痢、腹痛、ガスなど過敏性腸症候群の症状でお悩みの方、
そのような診断をされていなくても便秘や下痢などお通じのことでお悩みの方は
お気軽にご相談下さい。
全力でサポートさせて頂きます。
※なお、喫煙、飲酒、過食その他、回復の妨げとなる生活習慣の改善は必須です。
受診希望の方はお早めにお電話ください!
TEL 079-421-9353
電話受付 午前9~午後1時 午後3~午後7時
休 診 水・日の曜午後 祝日 第3日曜
治療中はすぐに電話に出られません。
長めにお呼び出し下さるか
お手数ですが、時間を置いておかけ直し下さい。
院長 吉良 淳
はり師・きゅう師(国家資格)
漢方鍼灸臨床研究会認定漢方鍼灸医
日本刺絡学会認定鍼灸師
FTPピラティス認定ベーシック・トレーナー
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