肉離れと鍼灸
肉離れとは~その原因と症状
肉離れ(筋挫傷)とは、筋肉(筋繊維)の一部が、または広範囲に断裂した状態を言います。
肉離れの原因
- 運動不足の人や筋肉の硬い人が急に激しい運動・スポーツをした場合
- コンタクトスポーツ(他者と激しくぶつかり合うスポーツ)など激しい運動時に
急激あるいは予想外の強度や角度の負荷がかかった場合
などに筋肉が過剰に収縮することで筋繊維が断裂する。
上記のような急性のものが主ですが、
陸上のマラソン選手など筋肉に同じ負荷が長期間に渡ってかかり、徐々に筋繊維が傷み、
それに気づかないか、軽んじて競技を続けた場合、
陸上のトラック競技(カーブのある200m以上やハードル)選手など、
筋肉に偏った負荷が長期間に渡ってかかった場合、に
肉離れになるケースも少なくありません。
過去に肉離れを起こした場合、
痛みが取れても損傷部位が周囲の筋繊維よりも硬いまま瘢痕化し、弾力性が回復しないので再発しやすく、
また受傷部位をかばった運動をすることにより負荷のかかった別の部位に肉離れが生じることもあります。
肉離れはどこの筋肉でも起こりえますが、主にふくらはぎや太ももの裏(ハムストリングス)で生じやすく、
激しい痛みによって歩行困難となります。
重症の場合、内出血や患部の腫れや熱感を伴うこともあります。
肉離れの予防
同じ運動をしても怪我の多い人、少ない人がいます。
それを分ける大きな原因は筋肉・関節の硬さと体の使い方にあります。
トップアスリートほど筋肉の質が柔らかいことが多く、怪我の少なさにつながります。
元々筋肉の質が硬い人もいますが、柔軟体操・生理体操を充分にすることで、
筋肉の柔軟度を高め維持することができます。
また怪我の多い人は、身体全体を有機的につなげてしなやかに使うことが出来ず、
- 一部の筋肉に頼り勝ち
身体全体を活かしきれない - 無駄な力みが多い
ブレーキをかけながらアクセルを踏むようなもの - 関節のアライメント(整合性)を崩している
靴の片減りがある、左右の靴の変形の仕方が違う場合は要注意
というようなケースが多いものです。
歩くのは下手だが走るのは上手、ということはありません。
スポーツ以前に立ち方・歩き方など日常の身体の使い方が基本ですから、
普段の歩行時から、身体の動きの左右差・前後差など観察しながら修正してゆくことが大切です。
肉離れ~東洋医学的考察
東洋医学では、どのような病や不調の背景にも内臓の機能低下、
あるいは複合的な内臓の機能失調があると考えます。
筋を養うのは肝です。
筋肉を損傷した場合、肝に最も負荷がかかります。
日頃から肝に負担があって筋肉の柔軟性を落ちているから、怪我をしやすい、とも言えます。
因みに東洋医学の内臓の概念と西洋医学の内臓の概念は違います。
西洋医学の内臓は肝なら肝、そのものとその働きを重視しますが、
東洋医学における内臓は西洋医学における内臓を含みつつ、広範囲にわたる機能的概念です。
例えば肝は
- 疏泄作用・・・・気血の流れをスムーズに働かせる
- 蔵血作用・・・・休息時には肝に血を集め、運動時には体中に血を巡らせる
- 筋(腱・筋肉・靭帯)・目・爪に作用する
- 怒りの感情と関わる・・・・ヒステリーやうつなど肝の不調は精神疾患ともつながる
西洋医学の解剖学書「ターヘルアナトミヤ(解体新書)」の翻訳にあたって、
基礎的な概念が違うにも関わらず、東洋医学の言葉がそのまま流用され、
且つ明治以降、制度上、西洋医学を主とされ、
現在は西洋医学的概念が主流となっているため、ややこしいかも知れませんが、
心臓・腎臓・肝臓・胃・大腸などの名称は本来東洋医学の言葉です。
もともとの身体の捉え方が違うのだということを認識していただければと存じます。
人体を部分部分の寄せ集めと考える西洋医学
(それゆえに専門が細かく分かれ、対症療法に優れている)と、
心身全体を一つのものとして観る(それゆえに心身全体の調整に優れている)東洋医学は
良い悪いではなく、違う思想背景に基づく医学なのです。
肉離れと鍼灸治療
当院における【症状】の意味
○異常事態を知らせる心身からの警報
○その時点における治癒力の発現そのもの(例:風邪の諸症状など)
【症状自体はいつであれ正常】
よって当院では、基本的にどのような病や不調においても、
心身全体の機能的・構造的不調和を整えることで、治癒力自体を回復せしめるための根本治療を行い、
一部の例外を除いて症状を追いかける対症療法は行いません。
その例外の一部が外傷です。
肉離れを起こしている部分は筋繊維の損傷に伴い、周囲の毛細血管が破れての出血(内出血)と
損傷部位の修復のために血液が集まってくるため、血流の停滞が起こり、熱感が出て来たりします。
西洋医学的処置では
- 感覚を鈍らせることで痛みを緩和させる
- 熱を冷ます
ために冷やすことが主流ですが、東洋医学では基本的には冷やしません。
伝統的な鍼灸の手法として
局所治療=標治法
- 瀉法 鍼の手技で熱や気血の停滞を取る
- 置鍼 損傷部位周囲に鍼を囲むように浅く打ち、気血の流れを調整する
- お灸 お灸の仕方は色々あるが、熱によって熱の発散を促す
- 刺絡 うっ滞している血液を排出して新しい血液の流入を促す
などの処置をします。
根本治療=本治法
同時に主に肝と脾の調整をして、心身全体の治癒力の回復を促します。
標治法と本治法の合わせ技により、回復が速くなると同時に、
再発の原因となりやすい傷ついた筋繊維の瘢痕化の予防となります
状況に応じて、治療効果の維持・補助として
- テーピング(キネシオテーピング、ホワイトテーピング)
当院では主に伸縮性のあるキネシオテープを使用 - 円皮鍼
短い鍼を皮膚に垂直に刺しテープを貼付して固定しておく - 皮内鍼
短い鍼を皮膚に水平に刺しテープを貼付して固定しておく
を使用することもあります。
※テーピング・円皮鍼・皮内鍼はオプション(別料金)
さらに当院では怪我の治療の回復に合わせて、怪我の大きな要因のひとつとなる、
関節のアライメントの調整を行います。
これを通じて患者さんご本人に自分の身体の使い方の癖、問題点への理解を深め、
養生(生活習慣の改善)に励んでいただきます。
「怪我さえ治れば良い、痛みさえ取れれば良い」は怪我の再発に繋がります。
アスリートならその後のアスリート人生にも関わってきますので
再発予防のために、怪我や痛みが取れた後の治療も大切にしています。
肉離れの急性期はもちろん、肉離れを繰り返しやすい人、
過去の肉離れが原因で思うようにパフォーマンスが上がらないアスリートの方は
お気軽にご相談下さい。
院長 吉良 淳
はり師・きゅう師(国家資格)
漢方鍼灸臨床研究会認定漢方鍼灸医
日本刺絡学会認定鍼灸師
FTPピラティス認定ベーシック・トレーナー
さらに詳しいプロフィールはこちら
☆☆加古川市の根本治療専門院 鍼灸治療院きさらぎ
ご予約は今すぐこちら TEL 079-421-9353
電話受付 午前9~午後1時 午後3~午後7時 休診 水/日曜午後 祝日 第3日曜
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