睡眠障害について
睡眠障害は次の二つに大別されます。
不眠
- 入眠障害(寝つきが悪い)
- 中途覚醒(目覚めやすい)
- 早朝覚醒(長く眠れない、早く目覚めてしまう)
- 朝すっきり起きられない
- 寝た気がしない
- 夢をよく見る
など
嗜眠(しみん)
- いつも眠くてたまらない
- 眠くて目を開けていられない
- 知らないうちに寝てしまう
- 長く寝たまま起きられない
不眠であれ嗜眠であれ、主に暴飲暴食などの悪しき食習慣、
仕事・人間関係・環境要因による精神的ストレスなど
何らかの原因によって自律神経が乱れるため起こると考えられます。
長く続くと倦怠感・疲労感、集中力低下、食欲不振、ヒステリー、うつなど
他の症状が多様に増えてゆく傾向があります。
睡眠障害・・・東洋医学的考察
東洋医学では人体の生理機能、病理(病気の原因・過程に関する理論)を陰陽で捉え考え表します。
人体には陽の気と陰の気が行り(めぐり)、陽気と陰気の働く量の配分を変化させながら
生理的調和を保っています。
睡眠の生理に関しても陰陽によって説明することができます。
分かりやすくするために陽気を中心に説明すると
夜の間、身体の陰の部位(身体の内側、陰の臓など)に入っていた陽の気が
表に出てくることで目覚め、朝から昼にかけて陽気が盛んになって、
主に身体の陽の部位(身体の表面や上部、陽の臓など)を行るため、身体は活動的になり、昼から夕方、夕方から夜にかけて陽気が衰えて身体の陰の部位(身体の内側、陰の臓)に入るために眠れ、
休むことができるわけです。
陰気は陽気の増減と逆比例して増減し、陰陽の調和を保ちます。
陰気と陽気の調和、陰陽の調和が保たれている時、人体は健康
何らかの原因で陰陽の気に過不足や停滞が起こると不眠や嗜眠を生じます。
睡眠障害と東洋医学的鍼灸
上記のように生理自体は陰陽の気の関係で考えるのが基本ですが、
陰陽の気は五臓(心臓・肺臓・肝臓・脾臓・腎臓)にあり、さらに気・血・水(津液)にも陰陽があります。
各臓器の虚実(機能低下と機能の過剰亢進)、
各臓器から始まって全身を走行する経絡(気の流れる経路)の虚実
の状態によって不眠や嗜眠の状態が変わってきます。
仮に不眠や嗜眠という症状が同じでも、心身全体の陰陽虚実の状態は人それぞれ違います。
よって本来東洋医学には不眠のツボ、嗜眠のツボなどというものはありません。
それでは西洋医学的発想による対症療法となってしまいます。
長い東洋医学の歴史の中で、睡眠障害を患う患者の治療でよく使われてきたツボの傾向、
はもちろんありますが、そのそれぞれのツボをどう選択し、どう使うかは、
心身全体の病態・体質・体力に応じて使い分けてゆかなければ、
その人その人に合わせた治療にはなりません。
通常、使われる傾向にないツボを選択した方が良いこともあるでしょう。
しかし、不眠や嗜眠という症状の改善を治療の目的とする対症療法的思考で治療に当たる限り、
心身全体の不調和の調整は図れず、原因は改善されることはありません。
人ぞれぞれの状態に応じて治療するのが東洋医学ですので
当院の鍼灸治療では、いたずらに症状を追いかけることなく、
心身全体の機能的不調和・構造的不調和を整え、
ご本人本来の治癒力を回復せしめるように治療に当たります。
治療をご希望の方は、予めその旨ご理解下さい。
睡眠障害の原因
○食生活の問題
- 過食(栄養過多)
活動量・運動量との相対的問題 脾臓・肝臓・腎臓への負担 内臓下垂・冷え - 飲酒
肝臓への負担 冷え - 薬の常用・多用
脾臓・肝臓・腎臓への負担 気血の流れに支障 冷え - 偏食(栄養不足)
炭水化物・甘いものの摂り過ぎ、香辛料過多による冷え
○精神習慣の問題
- 思考習慣
完璧主義 悲観主義 イライラしやすい クヨクヨしやすい プライドが高い(自己肯定感が低い)
心配性、被害者意識が強い 人の意見を聞けない など - 過労
働きすぎによる心身の疲労 内臓の冷え 脳の緊張が抜けない - 環境
人的環境(人間関係) 騒音 電磁波 など
最近はスマホ(特に5G)の電磁波の影響が強くなってきています。
○姿勢・運動習慣
- 運動不足
基礎体力がある人、食べ過ぎ・・・エネルギー過多の人が運動しない場合、
エネルギーが巡らず、発散されず停滞することで睡眠障害が起こる
基礎体力がない人は冷え傾向になりやすく、運動不足によりエネルギーが巡らないことで
エネルギーバランスが崩れ睡眠障害が起こる - 運動過多
過剰な運動、特に夜間の運動は脳の興奮・緊張を呼び、不眠に繋がりやすい - 姿勢
猫背・・・呼吸が浅くなり(交感神経優位 脳の緊張)、物理的に内臓を圧迫するため、
内臓疲労・内臓下垂・内臓の冷え、睡眠障害につながる
無駄な力み癖・・・・脳の緊張や血行不良と関係し、睡眠障害につながる - VDT障害・・・・スマホ・パソコンなどの見過ぎ ゲームのし過ぎ
眼の疲労とともに脳の緊張が抜けず不眠・浅眠に繋がる
○鼻炎
- 上記の悪姿勢・呼吸の浅さと関連するが、慢性的な鼻炎が睡眠障害の原因となる場合がある
花粉症、アレルギー性鼻炎、蓄膿症などがある場合はもちろんだが、
自覚のない鼻炎の人も少なくない。詰まっているのが当たり前になっているから自覚がないである。
いつも口を開けている人、食事中くちゃくちゃ音を立てて食べてしまう人、
少し動いただけで息苦しい人などは鼻で呼吸できていない惧れがある。
成長期にある子供の場合は、脳の成長とも関わってくるので要注意である。
上記のように睡眠障害の元となる内臓・経絡の機能異常、
また機能異常(内科的異常)の元となる構造的歪み(筋骨格上の歪み)に
つながる原因・要因は多岐に渡ります。
当院では心身全体の現状の不調和を整える鍼灸治療を提供しています。
睡眠障害改善の要点
上記のように睡眠障害の状態は様々であり、
それは様々な原因・要因が絡まりあって生じるている場合が殆どです。
心身全体の機能的・構造的不調和を調整し、治癒力の回復を促す当院の鍼灸治療に対し、
心身は必ず良い反応を致します。
しかし、当院でできることはそこまでです。
健康を損なわせた生活習慣上の問題の治療はできません。
自己治療(養生=生活習慣の改善)ができるのはご本人だけです。
治療を通してお身体と向き合い、気づいたこと感じたこと学んだことを
是非日常に活かし実践してゆきましょう。
治療と養生(自己治療)とが両輪となって治癒は進む
院長 吉良 淳
はり師・きゅう師(国家資格)
漢方鍼灸臨床研究会認定漢方鍼灸医
日本刺絡学会認定鍼灸師
FTPピラティス認定ベーシック・トレーナー
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予約制 TEL 079-421-9353
電話受付 午前9時~午後1時 午後3時~午後7時
休診 水・日曜午後、祝日、第3日曜
当日予約可(初診の方の当日予約は平日のみ可)
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