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治療よりも大切なこと

治療よりも大切なこととは?

東洋医学においては病や症状が現れてから施す治療は、
最善のものとは考えられていません。
何故なら、それは丁度戦争が始まってから戦略を練り始めるようなものだからです。

最良の治療は、病や症状が現れる前に治療すること。
すなわち予防としての治療です。

戦争が起こる前に充分に備えを調え、
且つ「戦争が起こらないように」上手に外交することが大事なように、

予防としての治療が何よりの治療なのです。


そして、それよりも更に大切なことは養生、
すなわち日常の在り方にこそあります。

「戦争が起らないように」という駆け引きや打算ではなく、
それ以前にどんな相手とも和し、仲良くなる事が大切な事であるように。


治療よりも養生が大切なのです。


自業自得と自由

養生とは日常の在り方を身も心も健やかなものにすることです。


「健康」という言葉は、本来「健体康心」という言葉を略したもの。
健やかな身体と康らか(やすらか)な心とが相俟って初めて健康と言えるのです。


では何が健康を育むのでしょうか?
それは 私達の在り方そのもの です。

自分というものは自分が育てるもの。
過去から現在、そして未来においても
様々な出逢いと経験を積み重ねながら私達は生きており、
そして、その一日一日、その一瞬一瞬をどのように生きていくのかは
つまりは自分次第なのですから。


「何を思い思わず、何を語り語らず、何を為し為さないか」


そのすべてが「私」を創るのです。
まさに自業自得。
自らの業(在り方)が自らの世界を創る。


『おのが在り方こそ』
これは何と自由なことでしょうか!!!

※【自由】とは本来【自らに由る、すなわち自らを拠り処とする】という意味。


私達は常に揺れ動く存在です。
移ろう季節の中で、人との交わりの中で、環境の変化の中で、
私達は否応なくそれらに応じ変化しつつ暮らしています。

その中で何を思い思わず、何を語り語らず、何を為し為さないか。
どんな姿勢で立ち、歩き、座り、食し食さずにいるか。
その積み重ねが「心身」を
「あなた」を、「私」を創り育てるのです。


すべては絶え間なく変化し続け、
私達もまた一瞬も留まらず変化し続ける存在である以上、
この自業自得の原理はこの上ない自由を約束してくれています。

私達は、心がけ一つでどのようにも変わっていけるのです。

養生とは 生きながら より良く生まれ変わるためのリハビリである




和を以て貴しと為す~心の養生

人と人との交わりの中で生きる私達は、その時々に何かを感じ、
心を変化させながら、生きているものです。
その変化、その揺れの積み重ねが「私」を形成してゆきます。

では、その心の揺れが穏やかな波のように安定している人と、
些細なことで怒ったり、傷ついたり、落ち込んだりと不安定な波を描く人では
どちらが健やかな身体を保ち、育てやすいと思われますか?


心と身体は一つであり、互いに影響しあいながら「私」を形成しています。

怒りや不満はストレスを呼び、
恐れや不安は気力を奪い、
思いつめれば気が塞がり、心身の調和を損ねます。

心の病は身体の病を引き起こすのです。


怒り、腹立ち、嫉み、羨み、妬み、憂い、恐れ・・・。
些細なことでたやすく立ち騒ぐ不安定な心。
怠惰に流れ、言い訳を重ね、誰かのせいにしては自分を慰める弱い心。

不平不満の多い心は、それに相応しくあなたの身体を育てていってしまうでしょう。



よく言われる話ですが、病院へ花を持ってお見舞いに行った時、
その花に、花を持ってきてくれた心にその患者さんがどう反応するかで、
その病の予後がなんとなく察せられる事があります。

花の美しさや人の心に感動できるということは、
その心は開かれており、その感受性には柔らかさがあるということ。
そのような患者さんの病は良い方向へ向いやすいものです。

花を見ても、見舞ってくれた人の顔を見ても無感動で虚ろな目をしているなら、
その病の回復も遅いか望めない可能性が高くなるでしょう。


柔らかで穏やかな心、明るい気持ちは自然治癒力を引き出し高め、
硬く強張った心、暗い気持ちは自然治癒力を低下させてしまう

ものだからです。






同じ病を得ても感謝の気持ちを忘れない人、優しさを失わない人がいます。
同じ病を得て、感謝の気持ちを忘れ、心を閉じ、『どうして自分ばかりが』と
恨みや敵意を外に向ける人もいます。

残っている症状よりも改善されていく部分に目が向かい喜びを感じられる人がいます。
改善されてきた部分よりも残った症状ばかりに目が向かい、自ら苦しむ人もいます。

この違いは一体どこにあるのでしょうか?
その違いとは、つまりは「平生における心の在り方の違い」と
言えるのではないでしょうか?

吹く風のやさしさに、野辺に咲く花に、小鳥のさえずりに、
お日様のお照らしに、慈雨の恵みに、夜空の星に、
何気ない挨拶に、一杯のお茶に。

喜びのタネは何気ない日常に溢れています。
それを感じ、感動し、感謝出来る柔らかな感受性と謙虚な心。

病の予後はその心の在り方一つで大きく変わっていくものなのです。



あなたは今日、何に感動しましたか?




「思惟(おもい)はすべてに先立ち、すべては思惟になる」

という言葉があります。



どのような出来事もそれをどう観るか、どう受けと止めるかで全く違うものになる
ということ。

換言すれば、

あなたが観ている世界はあなたが創りだしたものだ 

ということです。


心と身体は一つであると同時に、
身体の状況に引きずられない心を育てることも出来る ということですね。



その心の主(あるじ)となるか、揺れ動く心の僕(しもべ)となるか。
それは「あなた」の自由です。



あなたはどうなりたいですか?






あなたがもし今、身体に何らかの不調を感じているなら、
それは平生のあなたの心の習い、考え方の癖が創りだしたものかも知れません。

だとしたら、そんなしんどい心と身体の在り方を変えることなく、
これからも同じように、昨日をなぞるように生きてゆきたいですか?
同じ一日を生きるなら、豊かで健やかな心と健やかな身体を育て、
明るく楽しく生きてゆきたいと思いませんか?



和を以て貴しと為す。

相和することの尊さは、単に「仲よきことは美しきかな」と
いうことに留まりません。

人に対するということは、その実、己に対するという事。
人と和すためには、先ず己が心に和が無ければ出来る筈もないのですから。


考え方、感じ方の癖を見つめ直し、そして改善し、
人との関係をより良いものに育てていくことは、
そのまま「私」の心身を育てていくことであり、
楽しい 『健体康心の道』 を歩いてゆくことなのです。

心の養生は身体の養生とつながっている


姿勢の養生

「健全なる肉体に健全なる精神が宿る」とはよく言ったもので、
姿勢は健康と深く関わっています。

姿勢の悪さは身体の歪みを呼び、
身体の歪みは気血水の停滞・不足を呼び、
内臓へ悪影響を及ぼします。

不良姿勢の影響を受けた各内臓は、機能的安定を失い、
その異常は波及的に身体全体に及び、様々な症状を引き起こします。

また不良姿勢に伴なう無駄な力みは身体を硬くし、呼吸を浅くし、
心の安定を損ないます。


姿勢の良し悪しは、あなたの健康と密接に関わっているのです。


どこにも無駄な力みのないしなやかで軽やかな姿勢からは、
溢れるような元気、力強く爽やかな生命力を感じるものです。

背中を丸め、顎を出し、伏し目がちにトボトボ。
肩を怒らせ、胸を閉じ、身構えてガチガチ・・・。

力みのある姿勢からはどんよりとした窮屈さや
息詰まるような危うさ、強ばりを感じるばかり。
溢れるような元気さも生命力も感じることは出来ません。


姿勢とは姿の勢いと書きます。
それは生命の勢いと言えるかもしれません。

力みのある姿勢の中では力は停滞し、低下してゆきます。
力むほどにしなやかさは失われ、力は滞ってしまいます。
力みのない姿勢であってこそ、生命力は溢れ出すのです。



どのように立ち、歩き、座るのか。


誰もが大切だと分かっていながらしない、
そしてその気になれば誰もが取り組める姿勢の改善は
あなたの健康を育むためには目を逸らすことの出来ない
欠くべからざる大切な要素なのです。

姿勢の養生は心の養生につながっている




食の養生

何をどれだけ、どのように食し食さないか

これもまたあなたの健康を育む大切な要素です。

「規則正しい一日三食」
「一日36品目のバランスの取れた食事」
などの「正しい」とされる偏った常識

「食の欧米化」
「見た目の綺麗な農薬・化学肥料たっぷりの食材の流通」
「傷みにくく便利な添加物たっぷりの食品の増加」
「温室栽培や保存技術の発展による食材の旬に対する意識の希薄化」
「環境破壊に伴なう食材の栄養価の低下」
「サプリメント依存」など

挙げれば切りがないほど、食の問題は山積みです。


食養生の方法も巷にあふれ、流行り廃りがありますが、
創始者個人の体質に基づくものが多く、偏った方法は万人に必ずしも合うわけではありません。
極端な偏食となり、かえって身体を壊すケースも少なくありません。

通説・常識や現れては消える健康情報に惑わされず、
「身体の欲するものを必要なだけ食す」 ことが肝要です。

問題は欲するものを訴える身体の声をよく聴けているか、
聴きとれる耳、感覚を持っているか、保てているかということです。
習慣や嗜好に流されずに。
もっともらしい情報に惑わされずに。



医食同源。
栄養の偏り と 食べ過ぎ をなくせば、
病の多くは治っていきます
小欲知足を心がけましょう。

食養生は養生の基本であり、予防であり、治療となる




あなたが本当に健康に毎日を生きたいなら

『治療よりも養生が大切。』

このサイトに訪問して下さったあなたに
こんなことを説くのはおかしいと思われるかもしれませんね。

『鍼灸院にとっては不養生をしている人が多い方が
患者さんが増えて都合が良いだろうに』と。

確かにそうかもしれません。
けれども、所詮一人の治療家が診られる患者さんの数には物理的に限度があります。
残念ながら、当院への来院を見合わせられる方もいらっしゃるでしょう。
それでも縁あってこのサイトを訪問して下さった方々に、
そして縁あって当院に来院されている方にも伝えたい事があるのです。

それは 健康は本来自分で守るべきもの だという事です。



どのようにして守るのか。
それが 養生 です。

  • 心の在り方
  • 姿勢の在り方
  • 食の在り方

この三つを整えることです。

この三つを完全に整えることなど誰にも出来ません。
けれども 誰でも簡単に取り組むことは出来ます。


東洋医学は強制的に悪いところを切り取ったり、すげ替えたり、
抑えこんだりする医学ではありません。
あなたの自然治癒力に働きかける医学です。
あなたの「治したい、治そう」という強い心と姿勢が不可欠です。

誰でも取り組めることすらしようとしない、「自ら治ろうとしない患者さん」。
心身の不調の原因を生活習慣の中に見出そうとしない、「治療に依存的な患者さん」。

そのような患者さんと、病を機に自ら積極的に生活習慣の改善に取り組む患者さん。
不養生を続ける方と主体的に養生に励む方。
当然のこと、その治療効果の出方は違うのです。


想像してみて下さい。
ここに自転車の乗り方を覚えたい子どもがいるとします。
ひとりの子は、こけてもこけても熱心に練習に励みます。
教えてもらったことを素直に聞いて、失敗しながらも工夫して練習に励みます。
別の子は、「乗れるようにして欲しい」と言いながらも練習には取り組みません。

どちらの子が早く自転車に乗れるようになると思いますか?



治療家も人です。
先天的な病気や不慮の事故など不可避な病や疾患を除いて、
また病の進行や慢性化によって気力・体力の損傷が著しい場合を除いて、
治療家にとって「自ら治す気のない患者さん」ほど
治療に対するモチベーションが下がるものはありません。

逆に治療にも養生(生活習慣の改善)にも積極的な人ほど
「力になってさしあげたい」という気持ちが高まってきます。

どんな患者さんにも等しく、変りなく精一杯の治療を提供しようと思っていますが、
それが正直なところと言えます。



鍼灸師と患者の関係は、消防士と市民の関係に似ているように思います。


消防士の最も重要な仕事は消火活動ではなく、
防火活動であることは言うまでもありません。
出てしまった火事を消すことも重要ですが、
そもそも火事を出さないことの方が大切なのですから。

しかし、どれだけ防火活動を行い、市民の防火意識を高めようとしても、
市民が聞く耳を持たなければ火事を未然に防ぐ事は出来ません。
消しても消してもまたどこかで火事が出てしまいます。

 ガソリンを撒き続けながらでは、消せる火も消せないのは道理でしょう。 


同様に治療しても治療しても、
患者さん自身が病という『火事』を出すような生活習慣を続ける限り、
そして「火事になったらまた消してもらえば良いわ」という意識が変わらない限り、
どれだけ『消火』しようとしても焼け石に水。
防火意識の低さという火種がある限り、火事は決してなくなりません。

不養生を治す治療法はない のです。



『健康に毎日を生きたい』

あなたが本気でそう願うなら、先ずあなたが変わることです


医学はいつでも「治そう、治ろう」とするあなたの手伝いをする事しか出来ません。
本気で治したいと思うなら、「治してもらいたい」ではなく、
「治そう」とする事です。

「治したい、治そう」というあなたの強い気持ちが
あなたの自然治癒力を閉じ込めている重い扉を開ける鍵になります。
治療家と患者さんとがともに同じ方向を向いて治療に取り組んでこそ
治療効果は最も高まっていくのです。



当院であれ、他の治療院や病院であれ、
治療を受ける以上、あなたの大切な時間とお金を使うのです。

どうぞ実りある機会にして頂けますよう願って止みません。

根本治療専門院 鍼灸治療院きさらぎは
健康になるためにしっかりと自分と向おうとする
本気のあなたのための治療院です。

院長 吉良 淳
はり師・きゅう師(国家資格)
漢方鍼灸臨床研究会認定漢方鍼灸医
日本刺絡学会認定鍼灸師
FTPピラティス認定ベーシック・トレーナー  
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