溶接ヒュームによる肺炎
新コロナにマイコプラズマによる感染症が流行っているようです。
お年寄りなど免疫力が弱っている方や幼児などは肺炎にまで。
風邪はもちろん、上記のような感染症にも鍼灸治療は有効です。
高熱時以外は治療できますので、ご遠慮なくご相談くださいね。
さて、肺炎と言えば上記のようなウィルス・カビ・細菌の感染による肺炎が
イメージされやすいと思いますが、
感染以外でも肺炎は引き起こさます。
粉塵などの異物が肺に入ってしまって起こる肺炎です。
最近も溶接ヒュームによる肺炎(亜急性期)を主訴に来院された方がおられました。
溶接ヒュームとはアーク溶接の際に溶かされた金属が蒸気に混じって大気中に放出され、
その蒸気が空気中で急激に冷やされ、金属がとても小さな粒子となったものです。
この溶接ヒュームは有害物質であり、
一度体内に入ると排出されず蓄積されてしまうのでとても危険なものです。
急性期には
- 熱中症様の症状
- 呼吸器の症状
- 発熱
- 神経症状
- 倦怠感
などの症状が現れ、
慢性化すると
- 不眠などの自律神経失調症
- じん肺(肺が線維化してしまう間質性肺炎の一種)
- 肺癌
などにも繋がってきます。
件の患者さんの場合
解熱後も喉の痛みはないが痰を伴う咳が続き、呼吸がしづらいという。
望診(見ることによる診察)
横隔膜が縮こまり、呼吸器全体に可動制限があるのが分かる。
気道・両気管支・肺の左右ともに気が停滞し詰まっているのが診てとれる。
顔:肌が黒っぽくくすんで色艶がない
神経反射テスト
内臓では気道・両気管支・左右肺・横隔膜・胃~小腸・直腸・肝臓・右腎臓などに炎症反応
脈診
全体に沈んで細く硬い やや速い
右寸口:肺の脈が特に沈んで硬く陽分の丸みもなく張っている
右関上:脾の脈と左寸口:心の脈が虚している
右関上は軽按して力なくやや沈めて硬く且つ渋り、さらに沈めると空虚。
呼吸器の異常である咳に痰が絡むのは消化器の弱りがあり、
痰飲があることを示している。
咳の症状が取れづらくなっているのはそのためだ。
上記から脾虚肺虚熱証と見定めて治療。
治療後は脈・神経反射テストともに改善。
顔色も良くなり、喉が開き、呼吸がしやすいという。
※肺炎=脾虚肺虚熱証というわけではありません。色々あります。
もちろん、「咳を止めるツボ」なんて症状を追う対症療法はしていない。
体質・病態・体調・体力、さらに構造的問題(骨格、姿勢)に合わせて
必要な治療を提供するだけです。
あくまで治療は治す手助け
症状の改善は回復した治癒力がするものですから。
厄介なのは、ウィルス等と違い、溶接ヒュームなどの異物は排出されないこと。
間質性肺炎等に進行しないように 定期的なメンテナンスが欠かせませんね。
それ以前に、こういう事故のないよう、同様の環境にある方は
換気や防塵マスクなどきちんと予防してくださいね。
加古川市 根本治療専門
鍼灸治療院きさらぎ
院長 吉良 淳
TEL 079-421-9353
兵庫県加古川市野口町野口431-3
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