腎虚と不妊症

庭のシュウメイギク 2019

庭に咲く白と淡い撫子色のシュウメイギクが風に揺れています。
すっかり秋ですね。

ひょろひょろと頼りなげな細い茎。
一見弱そうに見えますが、数年前二株程度植えただけなのに、
今では庭に大きく勢力を伸ばしています。
さぞかし根は立派なことでしょう。

上は軽やかに、下は力強く安定していること。
それは健康上理想的な状態です。

それとは真逆の下が弱弱しく、上が力強い状態を
東洋医学では上実下虚(じょうじつかきょ)と申します。

一言で上実下虚といっても、様々な病態があるわけですが、
今日は腎虚について取り上げましょう。

ちなみに人は誰でも歳を取ると生理的に腎虚に傾きます。
足腰が衰える、耳が遠くなる、などの傾向は腎虚が進んでいる証です。
いつまでも元気でいるためにも足腰の衰えには注意しましょう。


生理的な腎虚以上に腎虚が進む病的な腎虚になると
若い方でも様々な症状が出てきます。
代表的な症状は冷え症です。

東洋医学において腎は生命力、体力の強弱と深く関わっています。
体内の熱を健康的に保つ役割があるので、腎が虚する(弱る)と
身体は冷えてゆきます。
冷えることで熱の制御ができなくなり、
足腰が冷え、逆に上半身は熱くなる冷えのぼせ、
いつも上半身に力みがあって力が抜けない、というようなことも起こりやすくなります。



腎は東洋医学的に生殖機能とも関係が深く、
腎虚は不妊症とも関わっています。
もともと腎虚体質(腎を中心に内臓のバランスを取る体質)の方の体力が低下したり、
不安や恐れといった類の精神的ストレスを抱えていたり、
足腰の筋力不足などによっても腎虚が進みます。


また呼吸は直接的には肺が関わっていますが、
深い呼吸ができるかどうかは「納気を司る」と言われる腎が
しっかり働いているかどうかと関わってきます。
腎気がしっかりしていれば、深い呼吸ができ、
身体を休め癒す働きのある副交感神経優位の状態になってゆきます。

生殖機能は交感神経優位、つまり緊張状態、戦闘モードでは高まりません。
深い呼吸が自然に出来る姿勢、
呼吸筋(呼吸を司る様々な筋肉群)をしっかり使った呼吸の仕方
(横隔膜を充分に使って肋骨を大きく拡張・収縮させる、吸気に肩を竦めないなど)を習得してゆくことは
生殖機能を高めるためにも大変重要なのです。


そして、足腰の冷えは足腰の筋力不足とも関わっています。
筋力が弱いということはそれだけ下半身の血液を動かす力が弱いということですから、
冷え性の方や不妊症の方は特に足腰を鍛えるということも
自分で取り組める(自分でしか取り組めない)重要な要素です。

心当たりのある方は、腰割(四股の前段階)、四股、スクワットなどに
取り組まれることをお勧め致します。


下半身が安定し、精神的にも明るく穏やかに安定し、
深い呼吸が自然とできるようになるように心がけ、
病的な腎虚を改善してゆきましょう。


不妊症・不育症と鍼灸



根本治療専門 鍼灸治療院きさらぎ
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